第187章 二人きり

病室には再び、二人きりの静寂が戻った。

一条星夜はサイドテーブルに豪奢な食事の包みを広げた。中から現れたのは、胃に優しいながらも栄養バランスの取れた、香り高い料理と粥だ。

橘凛も確かに空腹だったし、懸念事項も片付いた今、変に強がる必要もない。彼女はベッドを降りてテーブルにつくと、黙って箸を手に取り、食事を始めた。

一条星夜は対面に座ったが、箸は動かさない。ただ穏やかな眼差しで、彼女が食事を摂る様子を静かに見守っていた。

食事の半ば、星夜がふと思い出したように口を開く。

「そうだ、X自治区の方から連絡があった。鉱山の採掘は順調でな、第一陣としてかなり質の良いルビーの原石が出たらしい。...

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